4月から一輪車に乗りたいという、小学校4年生の女の子とレッスンをしています。
周りの子がみんな乗れるという状況で、
最初は自信がなさそうでしたが、
1ヶ月で15mは進めるようになりました。
そんな彼女が、今日「急に乗れへんくなってん。」と言うではあーりませんか。
これはこれは緊急事態です!
スランプを正当化するところから始まる
「まぁ、とりあえず乗ってみせてよ。」
と声をかけると、
2回、3回と前に進もうとしますが、
ちょっと行ったところでバタンバタンとすぐに一輪車を倒してしまいます。
この時点でやる気がなさそうな感じ。。
しかも、
「ほら見てー。」
「できひんやろー。」
「無理やねん、無理、無理。」
と、まぁそれはそれはできないことアピールしてきます(笑)
ただそれだけを見ると、
「おいおいおい、ちゃんとやれよ。」
「真面目にやれよ。」
「やる気あんのかよ」
って言っちゃいたくなるくらい手を抜いてやってるように見えるんですけど、
自分は乗れなくなった
できない
って自分で決めつけてしまってるからしゃあないんですよね。
さてさて、ここからが指導者の見せ所。
スランプにはなんか事情があるはず
こういうときはもう徹底的に子どもの話を聴くしかありません。
「乗れない」って思ってる勘違いを外してあげなきゃいけないから。
※以下、コーチは「コ」、女の子は「あ」で会話を記します
コ:「この2週間でいつ練習したん?」
あ:「火曜日にな、〇〇公園と××公園で友達と遊んでん。で、帰りしに急に乗れんくなってん。」
(この辺、怪しいなー)
コ:「どんな子と一緒に遊んだん?みんな乗れるん?」
あ:「4人で遊んでんけど、1人の子は乗れんくて、あとの2人は私よりも下手。」
コ:「どんなことやったん?」
あ:「競争とかやった。」
コ:「ほんで帰りに急に乗れんくなって、今日かいな?」
あ:「そう。いきなり乗れんくなってん。」
さらっとこういう会話をしました。
問題なのは体や技術の問題ではありません。
だって、さっきまで友達と遊んでて乗れてたのに帰りにいきなり乗れなくなったんだから。
ということは、もうこの「火曜日に友達と公園で遊んだ」っていうところにしか原因はありません。
人の影響を受けて起きるスランプ
なんで急に乗れなくなったのか?
の原因はもしかしたらたくさんあるかもしれませんが、僕がすごく気になったのは1つ。
自分より一輪車が下手な子と遊んだ
これです。
この女の子ね、素直じゃないし口も悪いんですけど、
すごく優しくて、周りを見る子なんですよね。
で、自分は一輪車に乗れなかったから、
乗れない子の気持ちもよく分かるし、
なんせ相手に合わせようとする力が無意識に働く。
5、6歳の子に弟、妹ができて、
急に甘えたり、怒るようになったり、
赤ちゃん返りしちゃいますよね。
あれと一緒です。友達に合わせちゃうんですね。
優しい子ほど。
彼女の場合は、ここがすごく気になりました。
できなくなった理由は真実かどうかはどうでもいい
なので、
コ:「もし、野球がうまくなりたいと思ったら、マネするやんか?」
あ:「マネ?」
コ:「うん、野球選手のマネせぇへん?」
あ:「うーん、するかな。」
コ:「そこにいるお兄ちゃんのマネする?」
あ:「いや、それはせぇへん。」
コ:「そうやんな。うまくなるためにマネするんやったら野球選手見るわな。」
あ:「うん。」
コ:「Aちゃんさ、遊んだとき周りは自分よりはヘタやったんやろ。」
あ:「うん。」
コ:「だったらさ、それ見すぎて乗れんくなったかもしれへんな。」
あ:「えー!そうなん?」
コ:「いや、それは分からへんけど、ずっと乗れへん子の見てたんやったら、体がマネしてるんかもしれへんで。」
あ:「うーん、ちょっと分からへん。」
コ:「そうやな。だから、この公園で自分が練習したのを思い出して、もう一回やってみよう」
あ:「うん。とりあえずやってみる。」
だいたい、こんな会話をしました。
この会話した次の瞬間には、
乗れてました。
まぁ、そんなもんです(笑)
スランプなんて大したことない
このおそらく2分くらいの会話が終わる頃には、
目には力が宿り、
できないことアピールのときにはうつむきがちだった姿勢はリラックスし、
体は弾むように動くようになってました。
乗る瞬間には、これは乗れるなっていうオーラ全開でした。
「なーんだ、できなくなったのってそんなことが原因だったのか」
ここにすぐにたどり着けたのがよかったです。
運良く一発目で乗れたのは大きいです。
他にも、
「帰りにできないところを友達に見られて恥ずかしくなって、自信なくなった。」んじゃないか?
「無理って言葉が多くなってる」から、やめてみるように声をかけようか。
というのを考えてました。
原因は1つじゃなことが多いし、
心の問題なら話してるだけで解消されるってこともあります。
女子の恋バナ悩み相談的なやつですね。
逆に泥沼になることもありそうですが(笑)
ともかく、子どもと会話することが大事。
子どもに話を聞いて、
色んな話をしてみて、
「できない」というところから意識をズラすこと
がポイントですね。
「全然大したことないやん」「大丈夫やん」って思えたらそれでokです。
もちろん、適当なこと言っても子どもにツッコまれたらボロが出ますから、
子どもに色々と聞かれたら「これはこうなんだよ」と答えられる準備は必要です。
なかなか意識をズラせないときはスランプが根深いし、
原因を突き止めないと抜け出せないくらい蟻地獄にハマってることもあるかもしれませんが、
この前までできてたのに、あれあれあれー?
この記事のような会話をやってみてください。
P.S.
いやーしかし、子どもとのレッスンは学びが多いです。
今回のレッスンだけで3記事は書けます。
子どもがインプットをくれるんですよね。
せっかく、気づきをたくさんもらってるんで、
しっかりアウトプットせねばです。また書きます。
【更新情報】2015-05-14
スランプ脱出の子どもに仕掛けたトラップについて書きました。