前回はセルフコーチングのことを書きました。
子どもが自分でセルフコーチングできるようになったら、それって自立ってことじゃないか。
というのをスマホを使って実現しようというようなお話でした。
今回は子どもが何かを言葉にするときに大人が気をつけておきたいことを書きます。
自分へのアドバイス
この女の子は、
僕の壁倒立のお手本とスマホで撮影した自分の壁倒立を比べてみて、
「パワーが違う!もっとパワーを出さなあかんと思う!」
という答えを出してくれました。
このときの僕の中の悪魔はこうつぶやきました。
パワーってなんなんだよ。
パワーを出さなあかんってどうすればいいんだよ。
そんなんでできたらコーチ要らねぇよ。
僕の悪魔がなぜか関東弁なのはさておき、
この女の子が出したのはすごく感覚的な答えです。
感覚的と言えば、巨人の長嶋茂雄監督。
『球がこうスッと来るだろ。そこをグゥーッと構えて腰をガッとする。あとはバァッといってガーンと打つんだ。』
と、ある選手にアドバイスしたそうです。
なんとなくイメージできるけど、よく分からない。。
指導者としては、ちょっと都合悪いです。
ちゃんと伝わる言葉を使わなきゃいけない。
『ボールがキューッとくるだろ。そしてググッとなったらウンッっと溜めてパッ。』
やっぱりこれじゃ分からない。
でも、
子どもが自分でひねり出してそう言ったのなら、
それは大正解です。
言葉にならない言葉
- 口の中でとろけてしまうステーキを食べたときの味わい
- 長年付き合ってやっとプロポーズをされたときの感動
- 3年間頑張ってきた部活の最後の試合
- 子どもが生まれた瞬間
言葉にするのが無理なことってたくさんあります。
言葉にしようとすると、なんかおかしくなる。
なんでもかんでも言葉にするのって無理があります。
今回は自分が補助倒立ができるようになるための自分へのアドバイスです。
別に他人にうまいこと説明する必要なんてありません。
子どもが自分で見て、自分の感覚で、出した答え
本人に手応えがあれば、それでokです。
大人が子どもに説明するときも、
ドカンとか、ズバッとか、パパパッとか、
長々と言葉で説明するよりも、案外こういう言葉を使ったほうが伝わるときがあります。
ちなみにこういう言葉のことをオノマトペ(擬声語)と言い、
スポーツオノマトペという分野でいろいろと研究されています。
なにはともあれ、
そのパワーを出すという自分へのアドバイスを実践してもらいました。
結果は。。
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なんということでしょう!
さっきまで片足しかうまく上がらなかった足がこんなに足が上がるようになってしまいました。
髪の毛の揺れからも分かるように勢いが全然違います。
肘も心なしか伸びて自分の身体を支える準備ができています。
自分のビデオを見た1分後。
やったことは自分のビデオを見て、自分なりに考えてやってみただけ。
アドバイスは、
「パワーを出さなあかん!」
です。
子どものそのままを受け容れてみよう
僕がやったことはビデオを撮ってあげて、お手本を見せて、
子どもが考えたことをそのまま受け容れただけです。
子どもが出した結論がどんなにフワッとした答えだったとしても、それは子どものアイデアですから、受け容れてあげましょう。
子どもは受け容れてくれるのを待っています。
受け容れてくれたから、受け容れてもらうことが必要なくなり、子どもが成長する。
体育を通して、運動を通して、遊びを通して、スポーツを通して、絵でもいいし、工作でもいいし、ゲームでもいい。
自分で考えた答えが受け容れてもらえる、という経験をたくさんさせてあげましょう。
そのときに目の前の壁を乗り越えることができて、
その積み重ねで子どもは自立していきます。
イラッとしたり、モヤッとしたり、口出ししたくなることもあると思いますが、
ぜひ、ちょっとだけ僕ら大人のお口をチャックしておきましょう。